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坂口フラスコと振盪培養機

戦後、GHQの指令により、わが国でペニシリンを生産することとなり、アメリカよりフォスタ−博士が来日され、ペニシリン大量生産(タンク深部培養法)技術が日本に導入されました。
東京大学農学部坂口研究室がこの種菌(胞子懸濁液)を培養する装置の開発にあたり、住木諭介助教授の依頼、指導により、当時のいわしや澤田健蔵商店がこの装置の製作を行いました。
振盪方法は往復式、振幅は70mm、回転数は110回、使用するフラスコは坂口フラスコと通称される、丸フラスコに底と肩をつけたフラスコが使用されました。
振盪培養機と云われる装置はアメリカにおいては回転式振盪であり、振幅の70mmもインチサイズではなく、なぜ往復式の機構で、70mmの振幅になったかは、その根拠は不明です。
トラブル続きの中、完成した一号機を東京大学農学部藪田研究室へ二号機を東京大学伝染病研究所細谷研究室へ納入したと云われています。
この仕事は一時的なものと考えられていました、というのは、この機械は特許ペニシリン培養振盪装置と言われ、ペニシリンの種菌製造装置として製作されたものだからです。
このペニシリン開発から、好気性微生物の初期培養装置として、スクリ−ニング等、抗生物質を代表とされる発酵生産に振盪培養機は一時代を劃しました。

坂口フラスコの酸素移動速度は極めて高く、同等の移動速度を三角フラスコで得るには70mmの振幅で280rpm以上の回転数を必要とします。
好気性菌を培養すると、この酸素移動速度の高さで高い増殖速度を得る事ができます。
次に換気効率の悪さから炭酸ガス濃度が高くなり酸素律速となり、栄養源が枯渇して培養は終了となります。
二次代謝産質が生産される、必要なのはこの物質で、酸素律速と栄養源の枯渇のバランスでに物質が生産されるのであれば、このフラスコは培養開始時に高い酸素移動で菌体を増殖させ、大量の菌体から物質を生産させる機能をフラスコの形状で自動的に行った、ペニシリンの種菌製造装置としてはベストに近い装置だったと考えられます。

その後、時代の経過とともに振盪培養機は回転式振盪、三角フラスコへ移行していきます。
坂口フラスコの洗浄のし難さから三角フラスコへとよく巷で言われますが、最大の要因は再現性にあります。
坂口フラスコと三角フラスコの相違点は振盪方法とフラスコ形状からくる液流の違い、乱流と層流で、乱流ではKlaに差が生じ、再現性の確保という点で三角フラスコへ移行したと云われています。

振盪培養機は黴の振盪培養によるタンパク分解酵素の生産研究を目的として開発されたものです。
今の培養、培養装置の基本形は戦後のペニシリン大量生産時、条件検討の為に生産タンクからスケ−ルダウンした20L攪拌培養器と500ML坂口フラスコ振盪培養機、この延長線上にあります。
1950年代に機能的には培養装置として完成形に達し、ペニシリンに特化した、このシステムですべての微生物を検証してきました。
現在、生命科学は生命を分子のレベルで捉え、その先端はゲノムの解析にまで達しています。
遺伝子はその発現に必要な環境にないと発現をしません。その環境は試行錯誤で研究室がフラスコの中に創り出さなくてはならないものです。


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